横浜地方裁判所 平成2年(ワ)1569号 判決 1999年1月21日
甲事件原告兼乙事件原告
小牧隆
上記訴訟代理人弁護士
立川正雄(ほか2名)
甲事件被告
石渡和子
上記訴訟代理人弁護士
佐藤泰正
甲事件被告(久米ツヤ訴訟承継人)
久米和子
上記訴訟代理人弁護士
村田恒夫
同
佐藤昌樹
乙事件被告
鎌倉市
上記代表者市長
竹内謙
上記訴訟代理人弁護士
松崎勝
上記訴訟復代理人弁護士
桑原紀昌
上記指定代理人
比連崎勝(ほか7名)
乙事件被告
国
上記代表者法務大臣
中村正三郎
上記指定代理人
近藤芳男(ほか4名)
主文
一 別紙物件目録一記載の土地と同目録二記載の土地及び同目録三記載の土地との境界を別紙図面「す」及び「た」の各点を直線で結んだ線であることを確定する。
二 別紙物件目録一記載の土地及び同目録七記載の土地と同目録八記載の土地との境界を別紙図面「コ―7」「コ―8」「コ―9」の各点を順次直線で結んだ線であることを確定する。
三 乙事件被告鎌倉市に対する本件訴えを却下する。
四 原告の甲事件被告石渡和子に対するその余の請求及び甲事件被告久米和子に対する請求をいずれも棄却する。
五 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第三 当裁判所の判断
一 争点1(一)ないし(三)について
1 844番1土地と842土地及び843土地との境界(争点1(一))について
(一) 前記争いのない事実等に、〔証拠略〕を総合すると、源之助は、前記のとおり、841土地及び842土地を大正2年1月31日に、843土地を同年2月19日にそれぞれ買い受け、昭和5年6月6日にこれらの土地(久米借地)を久米正雄に賃貸したものであること、これに対し、隣接する844番1土地と837土地は、大正9年2月12日になって芳蔵から家督相続により取得したものであること、源之助は右賃貸借契約締結に際し、久米借地契約書及び久米借地契約書添付図面(〔証拠略〕)を作成したこと、久米借地契約書には「賃借ヲ契約スル土地ハ鎌倉郡鎌倉町二階堂字稲葉越八百四拾壱番外弐筆別紙図面ノ通リ 参百六拾九坪」との記載があること、久米借地契約書添付図面には、「鎌倉町二階堂字稲葉越八百四拾壱番 八百四拾弐番八百四拾参番 合併」との記載があり、さらに方位と縮尺を記載した上で、借地部分を特定していること、その後、茂も久米に対し、同番地と同面積の記載をした契約書を作成して久米に同土地を賃貸したことが認められる。
以上の源之助による右各土地の取得並びに久米借地の賃貸借の経緯に鑑みると、公法上の境界線がどこにあるかという問題はともかく、久米借地契約書添付図面(〔証拠略〕)が、源之助の昭和5年当時における844番1土地と842土地及び843土地との境界についての認識をおおむね正確に反映したものと認めるのが相当である。そして、鑑定結果によれば、右添付図面による842土地及び843土地と844番1土地との境界は、別紙図面「A」「B」「C」の各点を順次直線で結んだ線であることが認められる。
原告は、久米借地は、源之助が土地の地番にこだわることなく、ほぼ正方形に区切った土地を賃貸した旨を同人から聞いており、久米借地の一部には844番1土地も含まれている旨供述するが、久米借地契約書の記載に照らして採用し難い。仮に右供述のようなことがあったのであるならば、源之助にしても、あるいはその後更新契約を締結した茂にしても、契約書上の土地の特定として844番1土地を記載すれば足りたはずであるにもかかわらず、そのような記載は存しないのであるが、その記載をすることを妨げる事情を窺うに足りる証拠も存しない。
(二) 右に判示のとおり、右の境界を定めるにあたっては、久米借地契約書添付図面は無視することができないものというべきであり、これと土地の利用・占有状況、公簿上の面積と実測面積との関係、公図上の地形等の他の事情を総合勘案して判断するのが相当である。
(1) まず、土地の利用・占有状況について見るに、〔証拠略〕によれば、別紙図面「す」点あるいは「さ」点と「た」点を直線で結んだ線をほぼ境にして、その西側は久米借地として、その東側を原告が宅地として利用していること、また、〔証拠略〕によれば、「さ」と「た」の各点を結んだ線上に、物置の直近等を除いて植木が所々植えてあるが、844番1土地は久米借地が賃貸された後も畑として耕作されていたことが、それぞれ認められる。
(2) 次に、公図(〔証拠略〕〔以下これを「現公図」という。〕、〔証拠略〕〔旧公図〕)との対比で検討すると、右各公図によれば、いずれによっても右の境界は直線であり、久米借地契約書添付図面のように屈曲していないことが認められる。
そして、被告市の「846―2先土地境界査定図」(No.6041[鑑定書添付])並びに弁論の全趣旨によれば、別紙図面の「K54」点が846番3土地と846番2土地との北側境界点であると推認されるところ、現公図によれば、843土地と844番1土地との境界線とそれらの土地の南側に存する846番2土地との境界線の交点である別紙公図「コ」点は、846番3土地と846番2土地との北側境界点よりも、明らかに東側に位置していることが認められる。
すると、同図面「K54」点の西側に位置する「こ」点を844番1土地と843土地との境界と認めることは困難であり、むしろ、「K54」点の東側に位置する「た」点が前示の占有状況や植木の存在等とも付合し、844番1土地と843土地の境界点であると認めるのが相当である。
(3) また、北側の境界点については、容易に判断し難いものの、被告石渡は、当初、別紙図面「す」点がこれにあたると主張していたこと、右地点はブロック塀の終点であること(当事者間に争いがない。)、被告石渡は、おおむね別紙図面「さ」点と「た」点を直線で結んだ線上あたりに植木が植えてある旨供述し、右「さ」点と「す」点自体、近接した地点であること、原告の主張も北側の境界点については「す」点であるとしていること、右のように解しても、源之助の久米借地契約書添付図面(〔証拠略〕)及び土地の占有状況(〔証拠略〕)と概ね一致することを総合勘案すると、844番1土地と842土地の北側境界点は「す」点であると認めるのが相当である。
したがって、844番1土地と842土地及び843土地との境界は、別紙図面「す」と「た」の各点を直線で結ぶ線であると解するのが相当である。
(三) もっとも、以上のように解すると、原告が主張するように、被告石渡所有の841ないし843土地についてはいわゆる縄延びが生じ、これに対し原告所有の844番1土地と837土地についてはいわゆる縄縮みが生じることとなるが、原告は、この点を捉えて、842土地及び843土地と844番1土地との境界線は別紙図面「す」「こ」の各点を直線で結んだ線であると主張する。
確かに、公簿面積と実測面積との関係は、土地の境界を定めるにあたって、考慮しなければならない重要な要素の一つではあるけれども、本件のように、従前の土地利用の経過、現在の土地の占有状況、公図が示す境界線の形状等、境界を定めるにあたって、無視し得ない他の重要な判断資料があり、そこから一定の境界線を推認することが可能である場合に、公簿面積と実測面積との違いという一事をもって、直ちに他の判断要素から推測される境界線を排し、公簿面積による按分を前提とした境界線を定めることは相当でない(しかも、前示のとおり、841土地及び842土地と843土地は、源之助が、それぞれ異なる所有者から、時期を異にして買い受けて取得したものであるから、そのような土地を現在の所有者が同一人であるとして地積を合算し、その結果の縄延び分を按分して境界を定めることも相当とはいい難いところである。)。
さらに本件においては、〔証拠略〕を総合すれば、茂の遺産分割においては、841ないし843土地の公簿上の面積の合計は246.42坪であるが、現況面積が369坪であることを前提として調停が進められたこと、右公簿面積と実測面積との違いを前提に一部分割協議が成立し、各相続人の取得する財産が決められたことが認められ、原告も被告石渡取得分について縄延びが存することを十分に知悉し、それを前提に分割協議に応じたものと認められる。
(四) 以上の諸事情を総合勘案すれば、842土地及び843土地と844番1土地との境界は、別紙図面「す」と「た」の各点を直線で結んだ線であると認められ、右認定を左右するに足りる的確な証拠はない。
2 確認対象土地の所有権の帰属(争点1(二))について
右1で判示したところによれば、本件確認対象土地の所有権は、被告石渡の所有する842土地ないし843土地の一部であることが明らかである。
したがって、原告の被告石渡及び被告久米に対する確認対象土地の所有権の確認請求は理由がない。
3 844番1土地及び837土地と本件国有地との境界(争点1(三))について
(一) まず、右各土地の利用・占有状況、公図上の地形等の事情を検討する。
(1) 〔証拠略〕によれば、原告が主張する844番1土地及び837土地は、いずれも現在は宅地として利用されているが、原告が本件国有地の範囲内であると主張する土地上には、844番1土地とに跨って原告所有の建物が存在すること、昭和30年代後半までは、837土地及び844番1土地に跨り別紙図面「コ―8」「コ―9」の各点を直線で結んだ線にほぼ沿うように小牧家の納屋が存在したこと、同所は現在においても原告により駐車場として使用されており、その部分はいずれも837土地、844番1土地と一体として原告が利用・占有していること、同図面「コ―7」「コ―8」「コ―9」の各点を願次直線で結んだ線より南東側は建物等は存在せず、特に利用されていないことが認められる。そして、〔証拠略〕によれば、右原告所有の建物は昭和20年代に茂が原告名義で建築をしたものであって、茂及び原告らとしては、右建物が存する部分は844番1土地と理解して利用・占有をしてきたもので、これまで何ら問題となったことがなかったことが認められる。
(2) 現公図(〔証拠略〕)によれば、本件国有地と844番1土地及び846番2土地との境界点は、843土地、846番2土地及び846番3土地の境界点(前示のとおり別紙図面「K54」点と認められる。)の東に位置する844番1土地と843土地及び846番2土地の境界点(前示のとおり同図面「た」点と認められる。)よりもさらに東に位置すること、837土地は、本件国有地と接する境界線よりも、東側道路との境界線の方が長い地形であること(即ち、837土地は南北にやや延びた地形であること。旧公図においても同様である。)が認められる。
(二) 原告は、別紙図面「い(K9)」、「う」、「け」の各点を順次直線で結んだ境界線を主張するが、右主張によれば、原告の所有する建物が、本件国有地上に存することとなり、現在の土地の占有状況に合致しないばかりでなく、1で認定説示した、844番1土地と842土地及び843土地との境界線とも矛盾する(2つの境界線が交叉する。)こととなるから、相当でない。
なお、原告は自己の主張する境界線の根拠として、被告国及び被告市との間での前示の境界確定協議により、境界が確定済みである旨主張し、被告国も、右境界確定協議の結果を斟酌して境界を定めるべき旨主張する(もっとも、斟酌した結果としての具体的な境界線は主張していない。)のであるが、〔証拠略〕を総合すると、右境界確定協議の結果、原告との関係では境界を特定した図面は作成されなかったことが認められ、そうすると、右協議は、結局のところ、原告が自己の土地と本件国有地との境界について、自己の主張に従った線を主張し、これに相応する地点を確認ないしその一部について標識が設置されるというものに過ぎないことが明らかであるから、原告及び被告国の主張は採用し難い。
なお、被告国は、旧公図上の距離を計測し、これを実測図上にプロットするという方法によって右境界線を確定しようとしたが、それは不能であったことが認められるが、そもそも公図は、測量技術が未だ不十分であったときに作成されたものであることから、各土地の関係位置、地形的な面では比較的正確であるが、距離角度等については不正確さが強く表われているといわれていることからすれば、仮にそれによって結果が得られたとしても、それをもって直ちに境界であるということは困難である。
(三) 以上の諸事情に、1で認定説示した842土地及び843土地と844番1土地との境界線とを総合勘案すれば、本件国有地と844番1土地及び837土地との境界は、別紙図面「コ―7」「コ―8」「コ―9」の各点を順次結んだ直線であると認められ、右認定を覆すに足りる的確な証拠はない。
二 争点2(一)(二)について
1 853番9土地と847土地との境界(争点2(一))について
(一) 原告の被告市に対する境界確定の訴えが、原告所有の847土地と被告市所有の853番9土地の境界の一部の確定を求めるものであることは明らかである。
そこで、まず本件のような境界確定訴訟において、土地の境界の一部の確定を求めることができるか否かについて検討するに、境界確定の訴えは筆界を確定することを目的とする訴えである以上、それぞれが1筆の隣接する土地の境界の一部の確定を求める訴えは不適法であると解するのが相当である。したがって、原告の被告市に対する境界確定の訴えは不適法として却下を免れない。
(二) 尤も、例えば、境界線の一部については、両当事者間に争いがなく、したがってその部分を除いた争いのある部分の境界の確定をすることによって境界紛争の即時・全面的解決に資する場合には、当該争いのある境界の部分についてのみ確定を求める利益があるとして、その境界確定の訴えも適法であると解する余地がないではないので、この点について検討を加えておくことにする。
(1) 前記のとおり、被告市は、昭和58年12月21日ころ、原告の立会いのもと、847土地と853番9土地との境界及び853番9土地と845土地との境界の査定作業を行ったこと、右査定の際、別紙図面「ま」「み」「き(ふ)」「ひ」の各点付近に市石を設置し、また、〔証拠略〕によれば、昭和48年12月当時、茂の相続人らが、同人の遺産分割調停を申し立てたこと、845土地の縄延び(66平方メートル)が右遺産分割調停において問題となったこと、右縄延び部分の土地の取得を原告が希望したこと、原告の右希望により調停が紛糾したこと、被告石渡は、遺産分割協議により845土地を取得した後、被告市に対し、周辺土地の境界査定を申請したこと、右申請に基づき、被告市は、昭和60年10月31日及び同年11月22日の両日、853番9土地とその西側で境界を接する845土地とその南側の848番2ないし4の各土地、853番9土地とその東側で境界を接する847土地の所有者らの立会いを得て境界査定作業を行ったこと、右査定作業は、853番9土地の西側において同図面「NO―9」点から「NO―6」「NO―5」「NO―3」の各点を通り「NO―1」点に至るまで、その東側において同図面「NO―8」点から「NO―7」「NO―4」の各点を通り、「NO―2」点、すなわち845土地付近に及ぶまではほぼ公図に沿った線で合意が得られてきたが、右土地付近に及ぶや原告が公図とは全く異なる境界を主張したことから紛糾し、右査定作業は中止され、結局、その査定作業の全部についてその結果を示す図面は作成されなかったこと、更に、被告市は、昭和58年12月に行われた右境界査定が、調停が紛糾した直後に原告が一方的に茂の相続人代表者を僭称して行ったものであることから、原告のみの立会いに基づく右査定の結果を確定した境界として認めていないことが認められる。
(2) 右に認定した事実によれば、昭和58年12月の被告市による境界査定は被告石渡が同査定の結果に異議を述べたことから紛糾したとの経緯に照らし、また、昭和60年10月ないし11月の境界査定についても「NO―2」、「NO―4」、「NO―7」、「NO―8」の各点を直線で結ぶ線が境界であることについて、一旦は一応の合意が得られたことに照らすと、853番9土地と847土地との右「NO―2」点以南の境界については、原告と被告市が積極的に争うものではないと窺われないではない。
しかし、原告と被告市との間で右の境界の部分について争いがないとはいずれの当事者も主張していないばかりでなく(原告の主張によっても、右「NO―2」点と「み」点との間の境界については何らの主張もない。)、原告は、仮に右部分の確定を求めるとすると約50メートルにわたって現地を測量又は調査をしなければならないと主張しているのであるから、右原告が本訴において確定を求めていない境界部分について当事者間に争いがないとはいえないことは明らかである。
(3) 以上のとおりであるから、原告の被告市に対する本件境界確定の訴えは、前記見解によったとしても、境界の一部確定を求めることが許容される場合には該当せず、不適法として却下すべきことになる。
2 明渡対象土地の所有権の帰属(争点2(一))について
(一)(1) 現公図及び旧公図によれば、853番9土地と846番2土地との境界線のうち西側の境界点は、本件国有地と846番2土地との西側の境界点(前記認定説示した別紙図面「コ―7」点)よりも明らかに東側に位置すること、853番9土地は、右境界点から南西にいったん広がりながら848番2土地と接する地形であることが認められる。
(2) そして、前記1(二)(1)で認定したとおり、原告は、845土地に縄延びが存することを知悉しており、原告がその取得を希望して遺産分割調停が紛糾したこと、昭和60年10月ないし11月の境界査定作業では、853番9土地の西側境界では「NO―1」点まで、東側境界では「NO―2」点までは、ほぼ公図どおりの境界線をもって作業が進行したことが認められ、右事実に現公図及び旧公図の845土地、847土地及び853番9土地の地形を総合すれば、被告石渡が主張するところの、845土地、848番2土地及び853番9土地の3筆の土地の交点としての別紙図面「E(む)」点(すなわち、846土地の西側市道に存する自然石[別紙図面「143」点]と、845土地の自然石[別紙図面「ほ」点]を直線で結んだ線の延長線で、平坦地の東南隅に該当する地点)と、右地点での内角を公図と現地とで一致させて境界線を設定し、その線と845土地と846番2土地との境界線(別紙図面「K52」点と「K53」点を結ぶ線の延長線)が交叉する地点としての「D」点を直線で結ぶ線が845土地と853番9土地との境界であるとの主張も不合理ではない。
(二)(1) 原告は、別紙図面「ひ」点と「ま」点を結ぶ直線が、845土地と853番9土地の境界である旨主張するのであるが、先に認定説示した本件国有地と844番1土地との境界線を前提とすると、「ひ」点は、西側に寄りすぎており、相当でない。
(2) また、原告は、853番9土地と847土地との境界は、西側山林(847土地)の傾斜の端の線と一致する「み」「き(ふ)」の各点を順次直線で結んだ線であると主張する。しかし、それを前提とすれば、右各土地の境界線は、前記認定のとおり土地所有者間で一応の合意がされたとみられる「NO―4」点から「NO―2」点に到達した後、「み」点に向けて顕著な屈曲を示すことになると思われるが、旧公図及び現公図のいずれに照らしてもそのような屈曲点は存在しないのであるから、採用し難い。
(3) さらに、原告は、被告市による道路査定が行われたこと、右査定の際、別紙図面「ま」「み」「き(ふ)」「ひ」の各点付近に市石を設置したことを根拠として主張するが、前記1(二)(1)で認定したとおり、現時点では被告市も右の査定作業の結果を確定した境界とは認めていないのであるから、右の市石が設置されたことをもって、原告の主張の根拠とはならない。
(三) 以上の諸事情を総合勘案すれば、明渡対象地は、被告石渡の所有する845土地の一部であると認めるのが相当である。したがって、原告の被告石渡に対する、撤去対象物件を撤去の上、明渡対象土地の明渡しを求める請求は理由がない。
三 以上の次第であるから、842土地及び843土地と844番1土地との境界並びに844番1土地及び837土地と本件国有地との各境界は主文第一、二項のとおり確定し、原告の被告市に対する境界確定の訴えは却下し、被告石渡に対するその余の請求及び被告久米に対する請求はいずれも失当であるから棄却することとする。
(裁判長裁判官 吉原耕平 裁判官 片野悟好 髙石博司)
物件目録
一 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 844番1
地目 畑
地積 363平方メートル(登記簿上)
二 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 842番
地目 宅地
地積 102.47平方メートル(登記簿上)
三 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 843番
地目 宅地
地積 175.20平方メートル(登記簿上)
四 別紙図面「す」点と「た」点とを結ぶ直線と、同図面「う」点と「け」点とを結ぶ直線との交差点をX点としたとき、同図面「す・こ・け・X・す」の各点を順次結ぶ直線で囲まれた部分(実測面積244.11平方メートル)。
五 別紙図面「き(ふ)」「み」「E(む)」「へ」「き(ふ)」の各点を順次結ぶ直線で囲まれた部分(実測面積30.06平方メートル)
六1 柵
ただし、右五記載の土地上に設置された丸太の杭及び木桟並びに鉄線により作られたもの
2 物置
別紙図面「き(ふ)」「み」の各点を結ぶ直線の東側部分。
七 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 837番
地目 畑
地積 178平方メートル(登記簿上)
八 一及び七記載の各土地の東側に隣接する無番地の国有地
九 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 841番
地目 宅地
地積 535.53平方メートル(登記簿上)
十 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 853番9
地目 雑種地
地積 116平方メートル(登記簿上)
十一 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 847番
地目 山林
地積 1897平方メートル(登記簿上)
十二 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 845番
地目 宅地
地積 294.21平方メートル(登記簿上)
十三 所在 鎌倉市二階堂字稲葉越
地番 846番
地目 宅地
地積 218.18平方メートル(登記簿上)
以上
<省略>
別紙公図
<省略>
別紙図面